介護福祉士 今、介護現場では。

エピソード 6

 

訪問介護の仕事をしている時の話です。初めての訪問の時は、同伴がつきます。

そこは高台の住宅地にある、2階建ての一軒家でした。

 

駐車場に車が止まっていることを確認すると、「あっ、いるいる。」と言いながら、同伴の上司が玄関のチャイムを鳴らしました。「こんにちは」とドアを開けると、あまりにもの、その光景に「私無理です。」と言って即座に帰ろうとしました。

そこは、よくテレビで話題になるような、ごみ屋敷でした。

玄関からずっとずっと続いているごみの山。高い所は天井までありました。

そのごみをかき分けかき分け、台所に行き、夕食の用意をするのです。

悪臭とゴキブリの死骸、いたるところの汚れとカビ。ネズミもいるらしい。

こんな所に一人で毎日夕食を作りに来るなんて。

 

「料理は適当で良いの」「次の人が見つかるまで、お願い」

 

ご主人と成人の息子さんの二人暮らし。何が良くて、こんな汚い部屋に住めるのか理解出来ず、また夏場だったのであまりにもの悪臭に私の体調も悪くなり、3回程通って次の人にバトンタッチしました。

 

訪問介護をしていると、いろんなお宅にお邪魔しますが、物が氾濫していても捨てられず、掃除もしない高齢者の独り暮らしは実に多いです。

その散乱した物につまづき、転んで骨折して救急搬送され入院、その後施設に入居される方も結構おります。 断捨離・・・大事な事だと、思いますが。