介護福祉士 今、介護現場では。

エピソード4

高齢者施設には、家族経営から大手の経営と色々な介護施設があります。料金も色々です。家族やパートナーの入居先を迷ったら、介護特定事業所(質の高いサービスを提供する為の体制を構築している事業所)を調べて入居を決めて下さい。

とは言っても、私の知る限りでは、家庭ではとても介護出来ないと、直ぐに入れる所なら何処でも良いと、何も考えずに入居を決める家族が、残念ながらほとんどでした。

まだまだ家族と一緒に住める要介護1のOさんは、ご自分の事は何でも出来る方でしたが、短気でわがままで頑固な性格の為に、家族に言いくるめられて入居されました。家族は「お母さんが病気で入院する事になったからその間だけここで暮らしてほしい」と説得したようです。その上「息子は出張・看護師の嫁は夜勤」と施設のスタッフに口裏を合わせてほしいと、私たちは家族に頼まれました。 

施設に入居すると毎日単調な生活です。さらに、施設によっては、お一人での外出は一切できません。 散歩もです。

でもOさんは、スタッフに内緒で数回離設(一人で外に行くこと)して大騒ぎになった事があり、何とか数回ともスタッフに見つけられたから良かったのですが、他では事故に巻き込まれたり、迷子になって通報されパトカーで帰って来たりとする事も珍しくないのです。 

そんなOさんも、入居してわずか1年で癌で亡くなりました。

こんな事なら、家で家族と暮らしてほしかったと私は思いました。

離設も家に戻りたい一心だったのでしょう。

 

短気でわがままで頑固な高齢者は沢山居ます。自立していたOさんを施設に入れようと決めたのは誰なのでしょうか?

Oさんが入居したばかりの夕方、Oさんの奥様から施設に電話があったそうです。

「子供に内緒で、Oさんに会いに行ったもいいか?」と言われたようです。

キーパーソン(介護において決定権を持つ家族)が息子様ですし、Oさんの奥様は病院に入院中となっているので、施設側としては許可出来なかったようです。

 

認知症がひどくて、家族の介護負担が大きいなら、施設の入居も良いでしょうが、Oさん夫婦を離したのは、まぎれもなく同居の息子夫婦なんです。