介護福祉士 今、介護現場では。
エピソード 9
入居されている人間関係は、たとえ認知症同志とはいえ色々です。皆、自分が認知症だと自覚がまったくなく、単なる軽い物忘れが時々ある・・・と思っています。
ですから「ご飯を食べていない」「物が無くなった」との、真剣な苦情は毎日です。
「ご飯を食べていない」・・から、「食べさせてもらっていない。」
自分の私物を置き忘れても、「泥棒が入って持って行った。」と、110番通報された事もありました。 皆、嘘をついているわけではないのです。
認知症とは、そういう事なのです。
昔、資格をとる為に学校に通っている時、先生に「一緒に夢をみる事。決して否定しては駄目です。」と、教えて頂いた言葉は、今でも忘れていません。
ただ、沢山の認知症の方々との生活は、毎日毎日本当に本当に大変です。
皆自分は認知症だと自覚がないので、「○○さんは変だ」とか、「認知症にはなりたくないもんだ」との会話が聞こえて来ると、スタッフ同士で苦笑してます。
そんな中、施設でも比較的要介護が低い要介護1のYさんが、皆の世話を積極的にやってくれます。 食事の配膳や下膳、洗濯干しなど、毎日手伝ってくれます。
90歳になるYさんですが、何でも手伝ってくれ、ご自分でも「私は皆より、しっかりしていて、何でも出来る」と、毎日自慢しています。
しかし、Yさんと変わらない要介護1のKさんが入居されました。昨年まで一人暮らししていた89歳の方です。
・・・・そうなんです。自立同志で、仕事の取り合いにならないように、スタッフは頭を抱えているんです。 今日も、Yさん機嫌悪かったなぁ~。